旅人教師@アジ亜太郎

道があるなら陸路で行こう。 ~貧乏人の一人旅~

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1990年代インド10 一人旅 ~デリーのツーリストキャンプ内にて~

 2001年に閉鎖したツーリストキャンプ

インドに来てから、「国営」と聞くと、なんだか安心する。

その言葉をうまいこと使ってくるインド人も多いが。

 

 

 

はたして、ツーリストキャンプ内は、おだやかな場所だった。

フェイスブックを見ると、2001年に閉鎖してしまったようだ。

www.facebook.com

 

ツーリストキャンプ内には、インド人が追っかけてこないので、町の喧騒から離れて、ほっと一息つける穏やかさがあった。

 

しかし、設備はボロボロだった。

 

チェックインを済ませ、自分の部屋がある棟へ向かっている途中、プールサイドで見かけるような簡易シャワーがあった。

 

扉はついていない。

 

そこで、けつ丸出しで頭を洗っている、欧米人の姿。

 

インドやったら、扉のないシャワーでも脱げるねんなあ、と思った。

 

 

ツーリストキャンプの部屋は、シングルベッドがようやく入るくらいの狭さ。

 

一泊、220Rs(700円程度)

やや高めの値段だ。

 

 

カベに扇風機がついている。

 

扇風機のカバーはなく、はねがむき出しだ。

 

 

回転しているときに手が触れたら、ビシッ!といかれる。

 

「危ないから」とか、いう発想はあまりない。

 

とりあえず扇風機の電源を入れる。

 

 

 

電源は?

 

は? 電源ないやんけ。

 

 

 

コンセントささってるんか?

 

コンセント、コンセント……

 

 

コンセントの先っぽに、当然ついているだろうと思われる、

「前へならえ!」したときみたいな、

二本に差し出されている「あれ」がない。

 

 

あるのは、

二本にわかれたむき出しの配線だ。

 

 

まじか。

 

 

このまま差し込むってことか。

 

コードにふれたら、すぐに抜けるし。

火事にもなりそう。

 

 

とかいう発想は、やっぱりインドではあまりないんだろう。

 

 

少しくらい危なくても、費用対効果を考えてなのか、

 

「お金かけんでも、このまんまでいけまんがなー!」という状況であれば、

 

そのまま強引につじつまをあわせてくる。

 

 

俺は、むき出しの配線を、コンセントの差込口らしき、

二つの穴に差し込んだ。

 

扇風機がまわりはじめた。

 

 

暑いしな。

 

回ってくれたら、そんでええわ。

 

だんだん、インド流になじんできてたりもする。

 

 

 

インドについて3日。

 

やっと一人になった気がする。

 

この扇風機、なんかうるさいなあ。

 

 

あっという間に時間が過ぎていく。

 

この国では、何かに追っかけられているようで、せわしい日々だ。

 

 

 

この国の人は、初めて会って何も知らない俺に、

 

「おい、ジャパニー、俺はそこら辺のインド人と違って、いい奴だぜ。」

 

と、いきなり言ってくる。

 

「俺には、日本人の友達もいてるしな、ま、他のインド人たちは悪い奴だから気をつけろよ。」

 

と、こんな調子だ。

 

 

よくもまあ、自分のことを最初からこうも褒められるもんだ。

 

こんなことを平気で言ってくる庶民の思想がどうなっているのか、少し興味がわいてくる。

 

 

 

デリーのインド人は、日本語が堪能な人が多い。

 

 

たいていのインド人が、

 

「モウカリマッカ。」

 

 

「クルクルパー。」

 

と言ってくる。

 

 

 

クルクルパーは、もはや日本語ではあまりメジャーではない。

 

 

久々に聞いたわ、その言葉。

 

くらいのレベルの日本語だが、

 

 

 

たくさんのインド人が

 

 

「クルクルパー。」

 

と言ってくる。

 

 

眉間にしわを寄せて、口上にヒゲをはやした小麦色の強面で、

 

「クルクルパー。」

 

と言ってくる。

 

 

違和感半端ない。

 

なんじゃこの世界は、俺はいったい、どこにおんねん。

 

 

という気分になる。

 

 

マンガみたいな現実がある。

 

 

俺が話しかけられて、話す気になるインド人は、

 

客観的に話ができる人だ。

 

 

 

向こうから話しかけてくる奴らはたいていが主観的、自己都合の話が多い。

 

客観的インド人は、話しかけてくる奴らの中の、1%くらいだろうか。

 

 

「お前は、アグラーに行くのか?アグラーはタージマハルだけがとりえだ。アグラーのインド人はろくな奴がいないから気をつけろ。」

 

とだけ言って去っていくような、そんなインド人は好感がもてる。

 

 

 

 

「俺はいい奴だ。」

 

とか、

 

「あいつは悪い奴だ。」

 

とかいう話題が、たいていついてくるからだ。

 

 

別に、そんな話には興味はないのに、

いつも会話がそこから始まる。

 

 

会話の始まりで、

 

「俺は信じてもいい奴だ。」

 

なんて言われて、どうやって信じれんねん。

 

どう考えても不信やろ。

 

 

 

客観的に会話ができることが、この国では大事だ。

 

この国には、そんな観点が抜け落ちてしまっているように感じるのは、なぜだろう。

 

 

会話する気になれないインド人が多い中、

 

1%の信頼できそうなインド人にも出会う。

 

それが、おもしろみかも知れんな。

 

 

インド人は、俺に

 

「日本に行きたい。」

 

としょっちゅう言ってくる。

 

「日本に行ったら豊かな暮らしができるだろう?俺も日本に行きたいんだ。連れて行ってくれ。」と。

 

初対面でもお構いなしに、お願いしてくる。

 

 

俺はいつもこう答えていた。

 

「たくさんのインドの人が、日本はリッチな国だ。と言ってくるが、日本はリッチな国ではない。セーフ(安全)な国なのだ。」

 

と。

 

たくさんの日本人が、

真面目に、こつこつと

必死に働いて、生きてきた。

 

だから、リッチになってきた国だとも思う。

 

 

みんなが信頼を抱かれるように真面目に、ビジーに生きれば、もっとこの国も経済的な豊かさが生まれるのかな。

 

とも思ったが、そこには文化や思想などの、自分たちの力だけではどうしようもないものに、とりまかれている事情もある。

 

 

だから単純に国のことを表現するのは難しい。

 

 

リッチではない、セーフな国。

 

今は、そんな一面しか言葉にできなかった。

 

 

そろそろ、あのけつ丸出しの外人さんは、シャワー終ったかな。

 

俺もシャワーを浴びに行こう。

 

 

 

あ!

 

 

俺は、インドに来て初めての風呂(シャワー)やんけ!

 

思わず足を、におってみた。

 

 

さぶいぼ出るくらい臭い。

 

インド人の迫力に負けても、足の臭さだけは負けへんわ。

 

 

ツーリストキャンプは大都市の真ん中にあるのに、

 

ほのかなオレンジの灯。

 

まわりは真っ暗やわ。

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