旅人教師@アジ亜太郎

道があるなら陸路で行こう。 ~貧乏人の一人旅~

MENU

1990年代インド8 一人旅 ~インドの耳かき屋の家に行った~

 

「メニイヤクザピーポー」が鼻につく、パキスタン人を残し、

俺はコンノートプレイスに入った。

インドに来て以来、人の優しさ、について考えることが多い。

 

優しさは、結局自分のために出てくる感情なのか。

 

「メニイヤクザピーポー」と言っていたあいつ、俺はあいつに助けてもらった。

 

でも、あいつは俺を、ビジネスのために、助けていたのか。

 

ビジネスのためだとしても、

俺はそのことをそんなに気にしなくていいのかも知れない。

 

無償の優しさってのもあるんだろう。

 

でも、日本で感じていたそれは、

インドに来てからは、あまり見えなくなった。

 

 

1997年2月21日

俺は、ついにムビーン(仮名)に会えた。

 

日本を出る前に、そうちゃんに紹介してもらった耳かき屋のインド人。

 

ムビーンは、あらかじめ他のインド人から、俺が探していることを聞いていたようだ。

 

20メートルくらい向こうから両手を広げて、

「ハロー。ナイスチューミチュー。」

思ったよりハイテンションの耳かき屋。

 

俺の想像していた人とは、すこしちがった。

 

インド人の耳かき屋と言われて、

頭にターバンを巻き、上半身裸で、「耳かき棒」を打っているおっさんかを想像していた。

 

七三分けの黒髪に、眼鏡をかけ、モスリムスーツを来ている。イスラム教徒だ。

 

何よりも予想と違ったのは、

耳かき棒を売っているのではなくて、人の耳かきをすること自体を仕事としている、耳かき屋だった。

そんな仕事があるのか。。

(後日、実際にムビーンに耳掃除をしてもらう。それはまたまた想像を超えていてびっくりした。)

 

俺は、ムビーンに、そうちゃんからもらった写真を見せた。

 

そして、日本でそうちゃんからことづかった、封筒を渡した。

手紙や写真やいくばくかのお金が入っていたのだろうか。中身はわからない。

 

写真を見ると周りにいたインド人までが、

「ソウニムラだ。(そうのむら=野村聡:仮名 だ)」と言っていた。

 

すげえ。

 

コンノートプレイスにいる、他のインド人までが知っている。

 

あとから気づいたが、ムビーンの周りにいるインド人たちは、いつも行動を共にしている。まるでファミリーのようだ。軍団ムビーンか。

 

ムビーンはなんとなく、この公園の中で力がある人のようだ。

 

そして、もう一人、公園の隅で、屋台でジュースを売っているインド人。

ペプシコーラ屋のパプーシン(仮名)。

こちらは、「シン」とつくので、

スィク教徒か、ヒンディー教徒だ。

ターバンを巻いていないので、おそらくヒンディーだろう。

 

この二人がわりとこのグループを仕切っているようだった。

 

パプーが、コーラや水やピーナッツをたくさんくれる。

なんか、急に信じてもいい人に出会った気分で。

また、なんだか泣けてきた。涙が出てくる。

 

インド人は、悪いことも良いことも本音で向かってきている気がする。

だからか、ささいな良いことでもひどく感動する。

 

俺はコンノートプレイスに夜までいた。

ムビーンの周りのインド人らと、いろんなことを話していた。

 

夕方頃、偶然柴田さんに会った。

昨日相部屋をした、若干、自慢まじりに話す関学生だ。

「なんや、泣いてるやつってお前か。」

いやなやつに会った、と俺はそう思った。

 

どうやらコンノート公園の中で俺は有名らしい。

「クライング ジャパニーズ イズ トゥワード デアー」

と言われているらしい。

 

「柴田君よ、きみ、旅の中で一滴の涙も出ないのかい?

何をみて、何を感じて旅してるんだい。」

とは、言わなかった。

 

夜9時過ぎ。

今、俺は、ムビーンの家に来ている。

 

インド人の家に来たのはもちろん初めてだ。

 

すごい家だ。

全部で四畳半か。

何人で寝るんだ、この部屋に。

7人か?8人か?

すでに、子どもが3人寝ている。

 

家に着くまでに通った路地もすごかった。

道幅80センチ?どこまで奥にはいるんや。

この先に家があるんか?

 

台所代わりの蛇口のある場所も地面から30センチくらいのところにある。

ムビーンのファミリーか?10歳くらいの少年が、どっかの家の屋根の上で寝そべっている。

家の中は狭くて入れないのかも知れない。

テレビはある。

14型のブラウン管。

家の中心に掛け布団がある。

f:id:Asiax-kun:20190622090241j:plain

耳かき屋の家@デリー

 

家の入口の辺りで、

地面から30センチくらいのところにある蛇口を使って、何やら晩御飯を作ってくれている。いったい何が出てくるんだ?

 

俺がカメラを手に持つと、いろいろな奴らが

「フォトを撮ってくれ!」

とせがんでくる。

それどころか、子どもたちはドレスアップしてくる。

どこに服がしまってあったのだろう。

 

「写真を撮れ、写真を撮ってくれ」、と何度も何度も言ってくる。

それほどに写真は珍しいのだ。

何度も何度も色々なポーズで迫ってくる。

 

いや~写真を撮るのに、うんざりしてきた。

 

写真を撮り続けて夜が更けていった。

Copyright©2019 AsiAtaro.Allright Reserved.